2013-05-30

煉瓦研究ネットワーク東京 フィールドワーク9 上野・荒川編2

東京藝術大学のキャンパスの真ん中を東西に都道452号が走っている。

1918年(大正7年)にこの都道が作られると、都道に対して南北対象に煉瓦造りの校門が作られた。残念ながら、現在は、都道北側に面したものしか残っていない。
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この校門をくぐると、すぐ左手に次の写真のような古風な守衛所が立っている。
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この守衛所の裏手にある通称『1号館?』が、都内に現存する最古の煉瓦建造物だ。
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1880年(明治13年)10月に会議室として立てられたものだ。

設計者は、当時の工部省の林忠恕であるが、林は大工出身で、大学で西洋の建築技術を学んだ建築家が世に出る以前の明治初期から中期くらいまで活躍した建築家である。

林は、横浜の居留地で洋風建物の建築工事に従事し、アメリカ人建築家などからその技術を学んだといわれている。

明治10年代まではフランス積みの建物が多いといわれている中、この建物はイギリス積みで作られている。
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この建物は、表面をモルタルで固められていたことから、煉瓦造りと知らずに1978年(昭和53年)に取り壊される運命にあった。

取り壊しのため、表面のモルタルを一部はがしたところ煉瓦が現れたことから、モルタルを全部はがしたところで解体は中止された。

その後、2005年(平成17年)に耐震補強を行い、将来に伝えていくことのできるように改修された。
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上の写真で、窓の上の周りに鋼材が廻らされている様子がお分かりだろう。

窓の桟は木製で、はまっているガラスは厚さが均一ではない部分があることから、この建物の竣工当時までは遡らないものの、かなりの古さがある。
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外側には、鋼製の枠の雨戸がついていて、とても味がある。
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室内に入って上に目をやると、屋根の構造が良くわかる。
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明治から伝わる木材にしては、意外と新しく見えるのは、室内に暖炉や囲炉裏などが無いためだろうか。

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